JA営農経済事業の自己改革を目指そう

黒澤賢治

黒澤賢治

黒澤賢治

JA総合営農研究会代表委員

特定非営利活動法人アグリネット 理事長
元JA甘楽富岡 理事/総務・金融委員長

「JA総合営農研究会」としての新時代の歩みに寄せて

2001年9月、群馬県富岡市の地でJAの基本事業である「営農経済事業」を中核研究課題として設立された「JA-IT研究会」は、食料・農業・農村の基本政策が目まぐるしく変化するなか、JA営農経済事業の存亡を賭けた「再生構築」への挑戦の起点となる「公開研究会」を積み重ねてきました。関係機関・研究者の皆様、また、事務局として運営・企画を支えていただいた全国農業協同組合中央会・(一社)農山漁村文化協会の献身的な御支援により、50回余の開催を重ねることができたことを御礼申し上げる次第であります。

20年余の歩みのなかには、市町村の「平成の大合併」やJA合併、さらには県域1JAの出現、未曾有の自然災害などの激動がありました。そのなかでJA-IT研究会は、現地での研究会開催等、現地・現場に密着した運営を重ねてきました。営農経済担当者として参加したメンバーも地域リーダー・JA運営リーダーとして大きく成長し、JA役員として農業・農村に欠くことのできない人材として活躍されている姿が全国各地で見受けられます。これもこの研究会の大きな成果だと嬉しく思うとともに、さらなる躍進を念じております。

「JA-IT研究会第50回記念公開研究会」を契機に、研究会設立の基本理念である「組合員と価値体系を共有し、農業・農村・JAの確かな地域営農システムづくりを協同活動の実践を通じて実現する」との目標をさらに加速化するため、過去の研究会における確かな成果を確認し、新たな会員JAの参画を得つつ、それぞれの課題解決に向けた研究会を再起動していきたいと思います。時代もまさに「令和の新時代」を迎え、確かな歩みがスタートいたしました。

一方で進行する「人口縮減社会」「超高齢化社会」。とりわけ進行の速い中山間地帯においては、様々な予兆が顕在化し、コミュニティの活動を鈍化させる主因となりつつあります。そのような状況のなか、JA営農経済事業は、地域の社会インフラとしての役割がさらに求められると想定されます。加えて、近い未来には、コミュニティービジネスの創造や産業コーディネートを主導するという、地域の生命線といえる役割が営農経済事業の中心となる日が到来すると思われます。今こそ、協同活動の輪を拡充強化し、全国のJAとの連携ネットワークを構築し、産業としての農業の持続的発展を可能とする「地域営農システムづくり」の実現に向けた実践が喫緊の課題だと認識する次第であります。

当研究会においては、次代を担う営農経済事業人材の育成をめざし「人材養成セミナー」を既に10回開催してきました。多くの修了生の皆さんが研究会のコア人材として、あるいはJA営農経済事業のオペレーション人材として活躍しており、新たな研究会においても開催を継続することとしております。

三十数年に及ぶJA役職員としての歩みのなかで、「活性化した素晴らしい地域・JAには、現地・現場にしっかりと足跡を残している優秀な営農指導員と協同活動の先駆け的な地域リーダーが存在し、素晴らしい産物と豊かな地域づくりを実践している」ということに遭遇してきました。様々な課題が山積するなかでも、産業に精通し、組合員・JAとともに確かな歩みのできる人材へと成長するためのチャレンジを一緒にしていこうではありませんか。

(2019年6月記)

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