JA営農経済事業の自己改革を目指そう

仲野隆三

仲野隆三

JA-IT研究会副代表委員

前JA安房理事
元JA富里市常務理事
JA人づくり研究会副代表委員

6次産業化に対する情報発信「ボランタリープランナー」
農業者

営農経済事業の原点を見直そう

自立的な営農経済事業改革への挑戦が始まる

JA-IT研究会が設立から15年目を経過した。顧みると、全国から多くのJA職員や系統職員、研究者が参加し、先進的な営農経済事業の取り組みを研究するとともに、セミナーを通じて知識を深め、営農経済事業の改革を実践してきた。

2015年10月の第27回JA全国大会では「創造的自己改革への挑戦」が決議され、2016年4月には改正農協法が施行された。政策のおしつけでなく、自立的な営農経済事業の改革への取り組みの始まりである。

改革を推し進めるにあたり心配が一つある。役職員と組合員および担い手とのつながりの希薄化である。現在JA数は660を切り、組合員とJAを結ぶ拠点が広範となって組織運動の目が粗くなっている。JA役職員がよりいっそう現場に耳を傾け、組合員の声を拾い集めなければ、この改革は進まないと考える。

生産者の実情にマッチした営農経済事業へ

農協だけでなく、組合員の構造も変化している。組合員の高齢化と担い手の減少は、平成27年度の販売農家数(調査)に現れており、販売農家数は133万人と10年間で63万人(32%)減少。平均年齢も66歳を超え、農業後継者との同居数も29%に減少している。

一方、大規模法人などの経営体数も2万7千を超え、5年前に比べ26%も増加している。多様な経営体に対しする販売事業改革は、ただ単なるサービスとしてうけとられるのではなく、農業後継者が期待する営農経済事業の展開をしなければならない。

営農経済事業の収支均衡を

JA-IT研究会活動は常に新たな取り組みをおこない、人材育成に努めてきた。15年を経過したいま、「組合員の協同運動」を原点として、JA営農経済事業の収支構造にメスを入れるべきではないか。

営農経済事業はこれまで部門収支が経営課題であった。信用事業の収益を営農指導事業に補填するなどして組合員の営農活動を支えてきたが、そろそろ人材育成を図りながら営農経済事業システムを見直しするなどして、組合員の期待に応える体制整備を進めるべきではないか。JAにより営農事業環境や営農規模などが異なるため、一概に述べることはできないが、営農経済事業改革の重要な一環として「事業収支の均衡」を試みる時期と考える。すなわち、事業管理費を削減しつつ、たとえ営農経済事業に関連する人材が集約化・減員されたとしても組合員の要望に応えられるような事業体制の実質を築く必要がある。

各JA、各部門の力を結集しよう

どうすればよいか? 営農指導人材は専門性を高めつつ、販売・開発部門との統合や機能連携を強め、マーケットを意識した生産指導へとシフトする必要がある。同時に、生産・販売を資材購買とリンクさせ、予約共同購買方式を導入することで、生産コストを削減できるとともに、資材費の出来秋払いも可能となるだろう。

直販取引にはさまざまなコストとリスクが想定されるが、それを踏まえたうえで商品開発企画と付加価値化を不断に行なうことも大切だ。

こうした取り組みによって営農経済事業の内実を強化してこそ、販売手数料を引き下げて組合員メリットを提供するといったことも可能となる。それによってこそJAの営農経済事業は、真に自立した姿として系統と一体的に動くのではないか。

全国のJA役職員がJA-IT研究会に参加され、真摯な討議と実践交流のなかから、それぞれの地域の実情に応じた営農経済事業改革の方向性を見出し実践されんことを念じてやまない。

(2016年5月記)

PAGETOP
Copyright © JA-IT研究会 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.