JA営農経済事業の自己改革を目指そう

講師陣からのメッセージ

2016年人材養成セミナー開講にあたって、各講師からの講義内容とメッセージを紹介します。

【基調講演】地域創生とJA再生 ~そのカギは人材にある~

今村奈良臣(JA-IT研究会代表委員)

mes_imamuraつねづね「農業は生命総合産業であり、農村はその創造の場である」と考え、6 次産業化の理論を提唱してきました。その実践の成果を踏まえつつ、新たに、アグロ(農)、フード(食)、エコ(景観と生態系)、メディコ(医療・介護・子育て)、カルチュア(文化・技能)の各拠点(ポリス)からなる「5 ポリス構想」による地域創生を提起します。ぜひ、「JAは地域の仕事おこしセンター、地域創生の拠点になる」という発想を心に刻んで活動していただきたいと思います。
そして、そのような地域創生のカギは、企画力、情報力、技術力、管理力、組織力の5要素を備えた人材が育つことにあると考えています。
新しい時代における地域創生の要となってそれぞれの地域で存在感を発揮していただくよう、JA営農経済職員の皆さんの奮起を呼びかけます。

 

【第1講】農林水産業のマーケティング戦略の方向性 
 ~多様性を活かしたJAのマーケティング・コーディネートの実践~

黒澤賢治(JA-IT 研究会副代表委員)

mes_kurosawaいま、卸売・仲卸のみならず量販店も業態変革を迫られており、そのなかでJAは、生産者や消費者ニーズの多様化をふまえつつ、生産から商品化・販売までを一元化した地域営農システムを構築できるかどうかがカギとなります。伝統の食文化、地域由来の産物、高齢者や女性を含む農業の多様な担い手、商工業を含む多様な地域産業……JAの強みを生かしてこれらをフル・コーディネートしつつ、激変し多様化する産業界や消費者のニーズに対応しうるJAマーケティング戦略を構築することが喫緊の課題です。そして、こうした地域をあげた戦略づくりのコーディネーターを担えるのは、営農経済事業に携わる皆さんをおいて他にないと考えます。
JA甘楽富岡にて長年、女性・高齢者の力を活かした多品目周年出荷型総合産地としての産地再興や地域産業を巻き込んでの商品開発に携わってきた経験をベースに、最近の流通・小売業界の再編や消費者ニーズの動向も見据えながら、JA営農経済事業をつうじた販売戦略づくり・産業づくり・地域づくりの要諦をお伝えします。

 

【第2講】平成30年米政策改革求められる水田農業のデザイン力と産地戦略

吉田俊幸(JA-IT 研究会副代表委員)

mes_yoshida(1) 30 年米政策改革は改革ではなく戦略なき対症療法というべきです。食糧法制定、MA米の輸入から21 年、米価格と生産額は半減。改革のポイントは生産調整の参加を条件としたセーフティネット、米の直接支払交付金の廃止にあり、多額な助成金による飼料用米の拡大を通じて生産調整を継続するものです。その内実は、納税者負担と消費者負担(米価引上げ)という二重の負担を国民と生産者に強いる政策といえます。継続性に乏しい混迷する「改革」であり、生産者の不信と不安が渦巻いています。民意の反映が参議院選挙での北海道から東北、甲信越での野党統一候補の当選です。
(2) 今後の水田農業のデザインと産地戦略においては、第一に、政策と助成金変更のリスクに柔軟に対応することが求められます。経営と産地にとって最大のリスクは政策変更だからです。第二に、消費・流通の変化に的確に対応した販売を軸とすること。人口減と高齢化社会を迎え、主食用米需要の大幅な減少と消費形態の変化が予想されるなか、需要と生産とのギャップが生じています。「転作」作物である加工用米・飼料用米等、あるいは米・米加工品の輸出、さらに野菜等についても、需要・流通、さらに助成金についての見通しを踏まえた販売・生産戦略の構築が必要です。
水田フル活用の面からみても、地域の宝である労働力を活かし、農家がフル参加でき、生産拡大と農家所得の向上に結びつくデザイン力と産地戦略の構築が欠かせません。
以上を米消費・流通・業界の動き、各JA,生産者の実践例及びTPPでのアメリカの戦略等から問題提起し、戦略構築のヒントを提示します。

 

【第3講】JA販売事業の可能性に挑戦しよう ~コスト意識とリスク管理の共有化~

仲野隆三(JA-IT 研究会副代表委員)

mes_nakanoJAの営農経済事業改革がスタート。課題は組合員の「農業所得の増加」と「農業部門(販売・生産購買など)収支の均衡」にあります。市場出荷一辺倒から実需との直販取引や契約取引、さらに買取り販売など多様な販路開拓がJA に求められています。
安易に利益率の高い直販取引や買取り販売などの市場外流通に飛びつけば、販売代金回収をはじめとして相応のリスクがあります。これらのリスク管理にかかる事業コストや買取り調達コストなどさまざまなコストも付随します。販売規程の見直しや、取引リスクが実際に発生してしまった際の対応の仕組みの整備も避けられません。
改革では買取り販売などが言われていますが、安易な買取りはJA の経営・財務基盤を悪化させかねません。
これらのリスクとコストを共通認識にしたうえで、卸売市場取引を経由したカット加工取引、直販取引、契約取引など多様な販路開拓に挑戦していくことが必要です。販売チャネルごとにメリットとデメリットや問題点を整理し、それらを複合させた販売事業のマネジメントのポイントを明らかにします。

 

【第4講】世代交代期の産地ビジョンをつくろう

工藤友明(パルシステム(㈱ジーピーエス事業本部長))

mes_kudoパルシステムは約300 の産地と産直協定を交わして提携していますが、多くの産地がいま農家の大世代交代期を迎えており、経営移譲のあり方が課題となっています。とくに大消費地に近い地域の生産者ほど、すでに先代が築いた販路ができあがっているため危機意識が薄く、「売り先があって当たり前」という意識の方もしばしば見受けられます。コスト意識を含む経営感覚の醸成が急務です。いっぽう消費者組合員も同じく世代交代期にあり、産地との協同意識が薄れている面も否定できません。
そんななかパルシステムは産直産地に対し、「産地ビジョン」づくりを呼びかけています。消費者もまじえて自分たちの今の実態・現状がどうなのかを確認しあい、将来どうしたいのかをきちんと話し合おうという運動です。
産地の後継者がすぐれた経営感覚をもち、地域の仲間と協同して農業に励み、消費者との関係をより豊かに引き継げるよう、次世代の産地ビジョンづくりを提案したいと思います。

 

【第5講】量販店の商品調達の考え方 8月29日更新

吉川和美(合同会社西友 商品本部生鮮食品部青果部バイヤー)

yoshikawa2バブル崩壊・消費税増税後、消費者の低価格志向が強まり、食品の低価格化が進んでいます。消費者が安いものを求める一方、生産者はコストの増加、価格の下落によって再生産価格すら確保できず、離農は進み、農家戸数は減少、企業の参
入や大型化によってなんとか生産量が維持されているのが現状です。
こうした中、生産者・JAの方々は、販売チャネルを増やすなど様々なことにチャレンジされていると思います。
その中の選択肢の一つに、量販店との直接取引が考えられます。量販店と産地がともに利益を分かち合えるために、直接の取引で大切だと思うポイントなどを、西友で私が取り組んできたことのご紹介を含めてお話しさせていただこうと思います。

 

【セミナー第1期生による実践報告①】
 地域活性化の拠点づくり、第2ステージへ ~地域での農協の役割、自分の役割は~

岩崎健二(JAえちご上越営農生活部次長)

豪雪・米単作地帯の当JA で、直売所「あるるん畑」を設置し、園芸の振興と複合産地づくりに携わり、10 年が経過しました。その間積雪地帯での園芸の定着が進み、担い手農業者も増加し、農業活性化が図られてきたと感じています。
第2ステージとして、レストランや農産加工製造直売など6部門からなる複合施設「あるるんの杜」開設に向けて職員・スタッフとともに奔走し、7 月21 日にオープンを迎えることができました。農業振興だけにとどまらない、上越地域を丸ごとPRする場、人が集まる観光地を目指しています。また、メニュー開発などを通じて、地元大学やJA女性部などとの連携も深まってきました。
組合員の農業所得増と地域の活性化のため、農協は何ができるか……組織をあげてその可能性に挑戦する中で、農協の役割を見出すことができ、地域からの期待も高まってきたと感じています。また、その中で自分が何をしなければならないのかも、悩み、模索しながら、少しずつ見えてきました。
JA-IT 研究会に参加して優良事例を学び、先生方や出会った仲間からアドバイスをいただいたり、ひざ詰めで悩みを語りあったり、時には「出る杭になれ」と叱咤激励されたりしたことが大きな糧となっています。
研究会での気づきを地域で実践に移しながら進んできたこれまでの歩みと、そこから見えてきた新たな課題をご報告します。

 

【セミナー第1期生による実践報告②】
 直販販路と提携先の開拓にひた走る

鈴木信吾(JA遠州中央直販課課長)

mes_suzuki入組いらい、青果物の市場販売、メロンや中国野菜の営農指導などに携わってきましたが、販売高の落ち込みや離農という厳しい現実…。儲かる農業への転換によってなんとかここから脱しようと、多チャネル販売・少量多品目路線を戦略として取り組んできました。
そんなおり、縁あってJA-IT 研究会人材養成セミナー(2009年)に参加。「世の中にはこんな人がいるのか!」と衝撃をうけたのを覚えています。以来4 回連続で参加し、いつも強い刺激をうけてきました。
セミナーから帰ってさっそく、地元量販店のインショップへの販売や地元食品会社への原料供給を開始。それが365 日の物流システム構築へと結実し、学校給食センター、病院、地元ホテルや料理店など販路を拡大できました。地場の種苗会社と提携して品種開発にも取り組み、商工会議所など様々な人や団体との関係も生まれました。
いずれの取り組みも走りながら考えているような状態ですが、「営農と組合員の生活向上」という農協の使命を踏まえて、信じる道をひた走るのみです。

PAGETOP
Copyright © JA-IT研究会 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.