JA営農経済事業の自己改革を目指そう

設立趣旨書

 農業協同組合の基本事業である「営農経済事業」の、「新たなる事業様式の創出」や「協同活動の在り方」が真剣に問われた2001年、JA-IT研究会は設立された。それは、生産・流通・消費の形態や構造が大きく変化するなか、農協運動の根本理念に立ち返りながら、新しい情勢に対応した新しい営農関連事業を創出することによって、農協の運動と経営を再興する途を探ろうとする全国のJA役職員、学者、関係者の想いをつなぎ実現したものである。

 この研究会では、参加JAが試行・展開する先駆的実践を相互に学び、その先駆的実践をそれぞれのJAが置かれた地域的特殊性のフィルターを通して取り入れ、営農関連事業を主軸に地域づくりを行なうことによって、組合員農家の生産や生活が充実し農協経営も安定的に発展する―そのような農協運動の本源をめざした、今日的で主体的・実践的な研究に取り組んだ。このため研究会は、JA単協の役職員を正会員とする各単協横並びのフラットな研究組織とし、会員農協を訪問視察する現地開催の研究会も重視してきた。

 JAグループは現在、「自己改革」に取り組んでいるが、特に、営農経済事業改革については、マーケティングに基づく生産・販売・購買が一体となった営農企画など、当研究会が設立当初から議論してきた改革路線が、現在の「自己改革」の方向性をリードしているとの評価もある。

 2001年の設立から18年。公開研究会も50回をこえた今日、この研究会の名称を「JA総合営農研究会」と改称する。

 目的は以下である。全国のJA支店数が、2000年の1万3,793支店から16年には7,828まで減少している。戦後草創期の農協数が1万3,000組合であるから、この十数年間でJAは「地域のシンボル(=拠点)」に手を付けてきたことになる。近年では、4県で「1県1JA」となり、さらに24府県で「1県1JA」「県域JA」の構想が検討されている。マイナス金利政策の長期化に伴う経営環境の厳しさもあり、今後とも支所・支店の統廃合は進むであろう。他方、平成の市町村合併が一気に進み、住民サービス機能の低下が指摘されるとともに、行政主導型の地域政策の限界も見えてきた。

 今まさに、地域のリーダー組織としてJAの真価が問われる極めて重要な時代を迎えている。

1,000万人を超える組合員の人的結合体、参加・民主主義、教育などを原則とする協同組合としての性格、総合農協としての多面的経済機能、地域農業、地域社会のインフラ形成の主体としての歴史などを踏まえ、あらためて

  • 協同組合としての使命(ミッション)=何のために存在するのか
  • 協同組合としての目標像(ビジョン)=何をめざしているのか
  • 協同組合としての価値観(バリュー)=何を大切にして活動するのか

を再構築することが求められている。そしてそれは、JAの基礎組織としての農家組合・実行組合の活性化をどうするか、住民参加型の地域づくりの取り組みにどのように関与していくか、支所・支店統廃合に伴う代替処置としての自治組織の育成にどう取り組んでいくか、に及ぶ。

  • さらなるJA事業改革と協同活動の再構築を通じ、組合員の手取り最優先と事業収支均衡を追究し
  • JAが地域農業と農山村活性化の司令塔との自覚を持ち、農業・集落・地域の活性化をはかり
  • 集落営農・農業法人、農工商連携や協同組合間提携を追究し「新しい協同社会」の創出をめざす

との目的を持ち、JA総合営農研究会としてここに再スタートを切る。

 事務局は、JA全中、JA全農、農文協の3者による連携事務局とした。
 全国のJA役職員の積極的な参加を呼びかける次第である。         (2019年6月15日)

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