主要品目である中国野菜の価格低下から、2007年より、キャベツや紅心ダイコンなど加工・業務用野菜の生産・販売に取り組んできた。地元種苗会社、カット野菜業者、中食・外食業者、生協などとの協働によって生産・販売の拡大と生産者組織づくりをすすめている。
大手流通業界での経験を活かし、JAグループ全体のマーケティング力向上と全農販売事業のバリューチェーンの確立を目指して業務を執行中。変化する消費現場に的確に応え、農産物を確実に売り切る体制をどうつくるか? JAグループは何を変えていかなければならないか?
ナガタフーズはダイコンのつま・おろしの加工・販売を中心に年間9億円を売り上げる農業生産法人。永田良夫代表の長男・修一氏は、7年間の食品会社勤務を経て2006年に就業した。その頃から新規開発に乗り出したスイートポテト(カンショ)、スイートマロン(クリ)、ダイコンドレッシングは現在売上1億円。短期間での成功をもたらした、企画開発・製造・販売の各段階における経営判などについて紹介。
2015 年に設立された野菜流通カット協議会は、野菜の需要形態の変化を受け、青果物の新たな生産・流通システムのあるべき姿について調査研究を重ね、加工・業務用国産野菜サプライチェーンの構築に関わっている。野菜ビジネスの最新動向を踏まえた戦略を提起。
農山村では新しい動きが生まれている。地域づくりの成熟化、田園回帰、関係人口の増加、若者による「しごと」づくり、地域運営組織の設立の進行などである。いずれも、JAの業務に直接にかかわる動きである。本報告では、その動向の全体像とそれに対する「地方創生」等の政策の動きの最前線を整理し、そこからJAのあるべき関わり方を探りたい。
四万十ドラマは1994年、四万十川中流域町村の出資により第三セクターとして設立、2005年に民営化した。特産のクリなどを生産者から買い取り、「四万十川に負担をかけないものづくり」をコンセプトにパウンドケーキなど様々な商品に加工、販売する。さらに道の駅やカフェの運営、観光なども手がける地域の総合企業だ。JA等と連携し、クリの苗木の植樹など生産者支援にも力を入れる。来年度には新工場建設を予定。地域の雇用がさらに増える。(文責:JA-IT研究会事務局)
当JAは1999年に支店行動計画を開始した。協同組合らしさが薄れつつあるという危機感を背景に、JAへの組合員の結集や各組織の活性化を促そうと考えたのである。しかし、10年余を過ぎマンネリ化が生じる一方で、准組合員や地域住民の参画も必要と認識、新たに「福岡市食料農業協同組合」とのキャッチフレーズを掲げ、現在取り組みを進めている。英知を結集してアクティブメンバーシップの確立を目指したい。
地域内の耕作放棄地の発生防止と地域農業の継続的な維持発展を目的に設立した。イネ(主食用米、飼料用米)を主体に野菜・山菜も組み合わせ、約137ha(16年度)の経営を展開。平坦地や中山間地を問わず農地を借り入れることで、耕作放棄地の発生防止に努めている。他の法人と連携し、さらなるコスト低減と作業効率の向上を図りながら、地域全体の農地を将来にわたって守るためにも、経営を発展させていきたい。
二度の合併により広域化したJAいわて花巻。結(ゆい)の伝統に由来する農家組合をJA事業の基礎組織と位置づけ、各支店をその活動拠点として、農家組合の支援育成に注力してきた。個々の農家組合内には営農部と生活部があり、土地利用調整や生産資材の取りまとめからJA農業まつりやさなぶり(・・・・)まで、組合員が協同で担う。JA職員も全員が一人一農家組合を担当。母体としての農家組合がしっかりしていることで集落営農や法人化、農地中間管理事業もうまくまとまり、地域ぐるみ農業を実現している。(文責:JA-IT研究会事務局)
農山村では、様々な空洞化が進行している。しかし、それに抗するように再生に向けた取り組みも見られ、さらに「田園回帰」という都市の若者からの追い風も発生している。本報告では、農山村で進んでいる「地域づくり」の動きを定式化し、その延長線上に「地方創生」を考えてみたい。それは必ずしも農山村のみではない日本社会の未来像にもつながるものであり、そこにおけるJAの役割も浮かび上がってくると思われる。
2015年センサスは農業経営体数、農業労働力、農地面積の3つの指標がいずれも大きく減少する結果となり、日本農業は本格的な縮小再編過程に突入した。構造変動の進展度にもかなりの地域差が生じており、地域ごとで今後の対策は大きく異なってくる。担い手不足地域における農地保全の仕組みづくり、産地の維持のための新規就農者の確保・育成などJA が担うべき役割の重要性はますます増加している。
2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標12 は、「つくる責任・つかう責任」です。「つくる責任」を担う生産者と、商品を利用する「つかう責任」を担う消費者、さらに生協やJA自らもその輪(フードチェーン)に加わることで、お互いのコミュニケーションと信頼関係の橋渡しとなり、持続可能な生産と消費の確保につながると考えています。顔のみえる関係を大切に……。
「協同組合が多くの挫折を味わってきたことを、われわれは経験で知っている。……そこには協同組合理念からの多くの離反があった」(国際協同組合同盟マルコス会長)
司馬遼太郎がいう「この国のかたち」には、「名こそ惜しけれ」という、自律的で自助的な透徹した「無私奉公」の倫理観、武士道精神があった。「協同組合のかたち」にも利他の精神がある。利他、相互扶助の「こころ」が協同組合の「かたち」をつくる。
協同組合は経済と道徳の結合を哲学とする。一方、新自由主義には人間道徳がない。政府か市場かの選択を迫りながら、ひたすら市場原理・競争主義に邁進する。協同組合運動は新自由主義に対抗する思想である。農協の「自己改革」も協同組合理念を再確認するとともに、自主・自立、参加・民主主義、
教育・学びあいなど協同組合のアイデンティティに自覚的な改革としなければならない。
農業における「成功」とは、一時の儲けのことではなく、親から子へ、子から孫へ代々続いていくことだと思います。また地域農業は、大規模法人や専業農家だけでは成り立ちません。地域が農村として維持されるよう、法人も家族経営も、専業農家も兼業農家も、若手も高齢者も、プロもアマチュアも、農村に住む人がみんなで地域農業を守っていく。そうした連携と支え合いの地域づくりを、JAとともに進めていきたい。
2017年9月、食品表示法に基づく食品表示基準が改正され、輸入品を除く全ての加工食品について原材料の原産地表示が必要になった。これにより生活者の国産原料への志向が強まることは間違いないだろう。加工食品メーカーも国内産原料への回帰を志向し、産地との連携を模索している。JAにも、これまでの卸売市場型生産体系だけにとどまらない、食との新しい関係の結び方を提起したい。
農業産出額全国第2位、園芸品目の盛んな茨城県では、外国人技能実習制度の活用が早くから進み、農業実習生数では全国1位。しかし近年、実習生の確保が困難になり、途中帰国や失踪などの問題も顕在化してきた。そこでJA茨城県中央会が、県全域をカバーする新たな監理団体として立ち上げたのが「エコ・リード」。採算性や受け入れ農家への指導・監督など、各JA単独では難しい部分に対応しながら、日本語教育などの受け入れ態勢整備に取り組んでいる。
技能実習制度は、農家・法人の努力によりウインウインで展開してきた。2015年農業センサスでは、常雇22万人のうち実習生が2.7万人と12%を占める。指定職種の野菜や施設産地では、大半が外国人という事例も出ている。従来日本人が多かった北海道、九州でも、日本人の応募がない規模拡大の酪農や畑作法人を中心に外国人実習生が急増している。そして日本人幹部と実習生のチームに、さらに技術ビザの大卒幹部が入ってきている。これらの現況を踏まえ新制度を議論すべきである。
品目横断的経営安定対策への対応として多くの集落営農が設立されたが、後継者不足や若い世代の農業への関心の低下などから、その存続や地域営農の継承が危ぶまれるところも多いという。集落の多様な担い手が結集した先駆的な集落営農・田切農産では、地域みんなで農地を守り、参画意識を促すため、どのような仕組みを築いてきたのか。また、これからの農業、地域・農村経営をどう考えるか。
明治時代の蚕糸組合以来、農業協同組合運動の伝統が流れているJA上伊那管内。集落営農も盛んであり、地域農業の中心的な担い手として活動している。その代表をJAの常勤役員が訪問し、膝をつき合わせて意見交換したところ、労働力や世代交代など、現在の集落営農が抱える深刻な課題も見えてきた。これからの地域農業をどう展望するか。JAとして集落営農とどう向き合い、連携するか。
JA営農経済事業の収支均衡に向けては、販売手数料の見直しや予約購買などの議論と取り組みが避けて通れない。組合員の合意形成と協同活動を基礎に総合的な地域営農システムづくりを実践してきたJA甘楽富岡の経験を踏まえ問題提起。
米麦大豆、イチゴ「あまおう」など施設園芸、果樹、「八女茶」とさまざまな作目をもつ。東京営業所を拠点に直販型販売に力を入れる。
県産米の4割を集める一大米産地。JA外出荷の法人も含めた利用組合を4法人立ち上げ、施設建築も含め自主財源で共乾施設を運営(自主運営方式)
ネギやレタスを主力とする有数の露地野菜産地のJA。園芸部会の結束力を土台に強力な営農指導を展開。
ブドウとキノコの代表的な産地。農業生産こそJAの基盤と位置づけ、部会とともに新技術導入や販売拡大に取り組む。
組合員と役職員の意識と意志が一つでなければ営農経済事業改革はできない。組合員が選択できる多様な販路を開拓しつつ、事業リスク・コストを共有することがカギとなる。
協同活動にもとづく販売・購買事業収支改善の方途を提起した前回(2019年11月)の報告に続き、指導・直売・利用・加工事業も含めた営農経済事業の根本課題を整理。
JA営農経済事業の拠点として重要な選果場等だが、老朽化や稼働率低下により機械更新とコストが課題。施設再編の先進事例から、課題克服のポイントを探る。
ブランドの「市田柿」を中心とした直販型の事業展開で販売高を伸ばす。資材店舗やライスセンターの再編による収支改善の取り組み状況も報告。
生産組織育成による共販強化、需要・消費の変化に対応した直販型の販路開拓、販売組織と一体となった予約共同購買など独特の取り組みで、農業部門収支を黒字化。