テーマ | 農産物直売所 原点とこれから |
日 時 | 2024年7月12日(金)13:00〜17:30 7月13日(土)9:00〜11:30 |
会 場 | 中労基協ビル 4Fホール および オンライン |
司会 吉田 俊幸(JA総合営農研究会 副代表委員)
1日目 7月12日(金)
開会挨拶
黒澤 賢治(JA総合営農研究会 代表委員)
藤間 則和(JA全中 常務理事)
情勢報告 JAファーマーズ・マーケットの実情と課題
原澤 恵太(JA全中 営農・担い手支援部営農企画課調査役)
事例報告1 JA金沢市 「ほがらか村」
加賀野菜をはじめとする地産地消
亀田 英喜(常務理事)
井納 拓樹(園芸販売課課長)
事例報告2 JAはだの 「じばさんず」
これまでの取り組みと新たな出荷者確保・育成について
内藤 聖樹(営農販売部営農販売課課長)
事例報告3 JA東とくしま 「みはらしの丘 あいさい広場」
JA東とくしまの産直とオーガニック・エコの取り組み
小川 貴士(副参事)
事例報告4 JAおちいまばり 「さいさいきてや」
直売所の店舗作りと食のテーマパークを通じた農の提案
田中 拓也(営農販売部直販課課長)
2日目 7月13日(土)
4事例のまとめとコメント
仲野 隆三(JA総合営農研究会 副代表委員)
基調講演 JA農産物直売所の「危機」と革新の方向
斉藤 修(千葉大学名誉教授)
開催報告
いまや1兆円産業にまで発展してきた農産物直売所ですが、近年は過当競争、あるいは出荷者減による品揃えの悪化なども生じ、事業の変革が求められています。農村女性起業、自給の社会化、地産地消といった直売所の果たしてきた役割と原点を踏まえつつ、新たな戦略をどう描くか。
斉藤修千葉大学名誉教授による基調報告とJA全中営農・担い手支援部営農企画課調査役の原澤恵太さんによる情勢報告では、先掲のような課題を整理したうえ、出荷者、消費者、職員人材の状況を把握するための各種の分析手法や品揃え向上、販路拡大、店舗外販売などの手法について提起しました。
そして4つの事例報告がありました。貴重な加賀伝統野菜の産地であるJA金沢市「ほがらか村」は、広報部門との連携でSNSをはじめ強力なPRを展開。首都圏からもほど近い“トカイナカ“にあるJAはだの「じばさんず」は体験型農園や市民農業塾など都市住民が農に触れたり就農できる環境を整え、出荷者確保につなげています。有機農業を戦略に立てているJA東とくしま「みはらしの丘あいさい広場」は物流企業と連携した店舗外販売などを実施。JAおちいまばり「さいさいきてや」はカフェや集配、食農教育の機能も併せ持った食と農のテーマパークとなっています。
事例報告を受け、登壇者を含む参加者の間で熱い討論が交わされました。
開催趣旨
地産地消の原点に立ち返り、JAの新たな事業となる農産物直売所をめざして
農産物直売所は、果樹や特定品目の産地での直売を原点とし、「地産地消」運動および消費者の「食の安全・安心」への要望の高まりを背景に全国各地で増加・発展した。その後、高鮮度・リーズナブル価格帯の提供が地元消費者の支持を得て、急速に取扱数量・高を増加させると同時に、女性や高齢者、小規模農家を含む生産者と地元消費者との交流の場にもなった。店舗数の増加とともに規模も拡大し、農産物流通およびJAの農産物販売・経営において重要な地位を占めている。
しかし、中食の増大、食の簡便化など消費形態が大きく変化し、農産物流通も大きな変動を遂げている。さらに卸売市場法の改正により、青果物・畜産物の流通の変化が加速化すると予想される。すでに「道の駅」をはじめ様々な業種が、農産物直売所がもつ地場流通や安心・安全といった機能を取り入れた事業を各地で展開している。
そこで、農産物直売所の意義・役割の原点に立ち返りながら、新たな時代に対応して事業を変革することが求められている。具体的には、地産地消運動の機能を踏まえて農産物直売所の販売状況を厳格にリサーチし、その運営や出荷者との関係を点検し、改善することである。また、事業採算や組合員所得の向上に貢献するような運営改善の方向も検討する必要がある。
当日は斉藤修千葉大学名誉教授の基調講演に加え、多様な消費者ニーズへの対応、地産地消、准組合員・女性・新規就農者などの参画を促す取り組みなど、最新の多彩な実践事例が報告される。地産地消の原点に立ち返り、JAの新たな事業となる農産物直売所をめざして活発な議論を交わしたい。