テーマ:農業地域調和 いまこそ農協の出番!

営農経済事業の本来の意義や役割とは?

 JAの広域合併がすすむなか、このことがいま改めて問われています。「農家所得増大」や「生産資材価格引き下げ」にむけた実践が広く行なわれてはいるものの、一部では、大規模農家・主業農家に偏重し、中小・自給的農家の育成・サポートや、地域を守るという視点が抜け落ちている姿もみられます。

 一方、農政には転換の動きがみられます。たとえば、2020年3月に改訂された新「食料・農業・農村基本計画」は半農半Xなど多様な担い手の役割に言及し、21年5月策定の「みどりの食料システム戦略」も持続可能性や環境との調和を掲げています。従来の大規模経営・法人化一辺倒の路線から、産業としての農業と地域の調和的発展をめざす路線への転換が起きているといってよいでしょう。

 この「農業と地域の調和的発展」こそ、農協の本来の役割であり、これからの営農経済事業の方向を示しているのではないでしょうか。そこにむけて農協には何ができ、また何をすべきなのでしょうか。

 地域と連携した購買事業、中小・自給的農家・新規就農者などを含む地域営農のトータルなサポートシステム、法人の育成・指導などの実践事例に学びながら、JA営農経済事業の本来の役割と新しい方向性について議論を深めたいと考えます。


■基調報告 「農家手取り最大化」の成果と課題 (JA全農)
「農家手取りの最大化」を実現するため、さまざまな取り組みが行なわれてきた。その取り組み成果と課題を事例をもとに解析し、農家手取り最大化に役立つメニューを紹介する。

■事例1 地域と一体で歩む購買事業 (長野・JA上伊那)
大手ホームセンターとの連携で購買品を供給。コストカットと組合員の利便性とを両立させた新しい地域営農システムの構築をめざす。

■事例2 地域営農のトータルなサポートシステム (愛媛・JAおちいまばり)
果樹・園芸を中心に、小規模・自給的農家や新規就農者を含めたトータルなサポートシステムを構築中。新規就農者の定着など成果もあがってきた。

■事例3 法人との連携とコミュニケーション (滋賀・JAグリーン近江)
集落営農・法人の設立をJAが推進・支援し、互いに協力して地域の水田と農業を守ってきた。地域とのコミュニケーションをどうはかり、活性化するか。